。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。
あたしの心臓が破裂しそうな勢いでドキドキいってる。
さっきあたしはあの戒の腕に抱きしめられて、何度も口付けした。
そのときのドキドキじゃなくて、それは不安でどうしようもない―――…嫌な音だった。
「…どうしたの?龍崎くん。そっちに何かあるの?」
新垣 エリナが振り向いた気配があって、あたしたちは慌てて壁に身を寄せた。
「いや……」
キス―――…ではなかったみたいだけど、も、もしかして
尾行してるのがバレた!?
壁に身を寄せてドキドキしていると、
「…気のせいみたいや」と戒が頷いた。
ほっ
戒が不調で良かった~…と、このときばかりは戒の胃痛に感謝。
絶好調だったら絶対あたしらの尾行に気付いてただろうし。
「新垣さん、俺。頼まれごとはちゃんとやるし、あんたを助けるため全力でぶつかるつもりや。
けど
やっぱ朔羅だけは裏切りたない。
俺、ほんまにあいつのこと好きで大切なんや。
今もあいつを不安にさせて置き去りにして、俺…どうしようもないやっちゃ、って思う」
戒―――……そんなこと…想ってたの…?
「あんたの秘密守る言うたけど、全部終わったら…
朔羅と……あいつを心配してる幼馴染だけにはほんまのこと言おうか思うてる。
約束守れんで
ごめん」
路上の影が動く。
戒が―――…頭を下げたみたいだ。