。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。
ほとんど反射的に体が動いて、戒に抱きしめられる。
言われた通り頭を抱えてしゃがみこむと、ほとんど聞き取れない小さな音がして、
戒が拘束していた男の心臓に一発穴が空き、男が目を開いたままその場に崩れ落ちた。
え――――……?
何が起こったのか理解できず、呆然とするあたしの手を引っ張って戒はあたしをご本堂の中へと促した。
「朔羅!こっちだ!」
戒に引っ張られて、ご本堂の中に移動する間も小さな音は鳴り続け、あたしが仕留めた手水場の男の心臓を打ち抜き、
最後にはあたしたちが隠れているご本堂を打ちつける音が聞こえた。
「こ、今度は誰だよ!」
「分からへん!せやけどこの場所で一発で仕留めるなんてかなりの腕前や。間違いなくプロやで!」
プロ―――…
スネーク!!?
あたしは戒にぎゅっと頭を抱き寄せられ、戒はハジキを構えたまま時折ご本堂の影から顔を出して向こうの様子を伺っている。
戒が拘束していた男は目を開いたまま足を投げ出して、ぴくりとも動かない。
打たれた心臓から赤い鮮血が流れ出している。
その赤い血は灰色と白い砂利を鮮やかに染め上げていた。
後ろで手首を拘束されたまま横を向いていて、その見開いた目に、命の息吹を感じられなかった。
嘘―――…!
死……!
ドキン、ドキンと鳴り止まない心臓を押さえ、それと同時に密着した戒の体からも同じリズムを感じる。
「朔羅!マガジンを入れ替えるときが必ず来る!合図したら向こうの木陰に移動しろ!」
戒があたしを見下ろしてきて、あたしは不安そうに戒を見上げた。
「お前は!どうするつもりだよ!」
「んなの決まってンやろ!
ここに居ても狙撃手は俺らが死ぬまで攻撃やめんつもりやで!
俺が囮になる。お前は逃げぇ!
大丈夫や、ここは障害物が多いさかい安心しい」