。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。
囮――――…!!
「やだよ!戒を残して一人逃げるなんでできない!」
あたしが怒鳴り返すと
「俺は経験やってあるし、大丈夫や。
怖い想いさせてごめんな」
戒があたしの頭をなだめるようにそっと撫でて、眉を下げる。
怖い想いなんて……
戒と一緒にいればどんな困難にも立ち向かえるんだよ。
全然怖くないよ。
数秒の銃撃が止んで、
「朔羅!行けっ!お前は逃げて響輔に連絡しろ!」
戒は一瞬の隙をついてあたしの背中を押した。
わずかに振り返ると戒はご本堂の中からゆっくりと手を振って、わずかに微笑んでいた。
「行け、朔羅。
愛してる」
言葉はなかったが、戒の口がそう動いた気がした。
あたしも
あたしも
愛してるよ。