。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。
「ほんまにごめん。
あんたが裏切りや思うんなら、俺の正体バラしてもろてかめへんから」
戒はもう一度呟いて、あたしは壁に身を潜めたまま目をまばたいた。
それは戒の
覚悟だ―――……
下手したら命を落とすかもしれない、決死の覚悟。
もしかして、バレたときからその覚悟はしてたかもしれないけど。
でも、どんなことも上手く立ち回れる戒は、その気になれば永遠に秘密をあいつの中で閉じ込めておくことができたのに……
あたしのことを考えて、それをしなかった―――
あたしのこと……大切って言ってくれた。
「………頭、あげて?龍崎くん……
あたしこそごめんね。変なことに巻き込んで。
あたし…龍崎さんならホントのこと知ってもらってもいいよ」
新垣 エリナが慌てて言って、あたしは思わず目をまばたいた。
「龍崎さん……いい子だよね。
あたし…今まであんまり喋ったことないから分からなかったけど…
学校の男子にすごく人気なのに、でも全然相手にしてないからお高く留まってるってイメージがあった。
もっと冷たくて意地悪でブリッコな子かと思ってたのに、そんなあの子が龍崎くんに守られて大事にされてるの見てちょっと嫉妬してた」
相手にしてないってのは、当たってるけど…
お高く留まってる!?意地悪でブリッコ!?
周りの女子から見たらあたしってそうなの!?
新垣 エリナの言葉を聞いて、キョウスケがふっと喉の奥で笑う。
「随分な言われようですね」
笑ってンじぇねぇよ!
あたしは思わずキョウスケの頭をバシッとはたいた。
「だからあたし、ちょっと意地悪しちゃったんだ…
龍崎くんをまだ好き―――とか。
あの子に嘘ついちゃった。
あたし、嫌な女だなー…って言ったあとに後悔…」
へ……嘘―――!?