。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。
「白い女―――…?」
キョウスケが目を細めてあたしを見据えてきて、あたしはこくこく頷いた。
「狙撃手は女と言うことですか…
戦場慣れしてる戒さんを仕留めたぐらいですから、男かと思ってましたが」
「女だったよ!意識失う前にちらりと見えた!
黒い長い髪で!白いパンツスーツに白いパンプス履いてた!」
「なるほど、それで白い女か―――」
戒が顎に手をやって首を捻る。
「着物じゃないだけましだよ!青龍会本部で会ったイチみたいなかっこしてたら…」
お化けがハジキ持って襲ってきたなんて、それこそ現実離れしてるケド
少なくとも現実的なスーツで怖さは半減だ。
ん??着物…?
「あれ、あの女!イチじゃねぇの!!」
あたしはキョウスケに勢い込んだ。
てめぇの女ぐれぇてめぇで躾とけ!ってな具合に。
「それはねぇな」
「それはありません」
戒とキョウスケ二人の返事が同時に返ってきて、あたしは一人いぶかしむように眉を寄せた。
キョウスケは若干迷惑そうに両手を挙げ、
「通話が途中で切れてお嬢に何かあったかと思い、
同時に一結が何かを仕掛けたのかと思って彼女のケータイに電話を掛けました。
鴇田さんが出て、一結は風邪をこじらせて鴇田さんの自宅で療養中だそうです。
ついでに言うと、その時間帯ドクターが彼女の往診をしていたようで、アリバイは成立しますね」
という事は…ドクターは白へびの疑いから消えた…?
「時間的な問題もあるやろうし、それより何より
現場からオピウムの香りが香ってきた」
「オピウム―――…彩芽さんが…?」
キョウスケも目を開いて、口元に手をやる。
「だが今は香水の香りどころか血の臭いすら匂わへん。
ちっ。
匂いが混在して嗅ぎ分けられへん」
戒はそっと鼻を押さえると、再び視線を険しくさせて地面を睨んだ。