。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。
「あの…それは…」
まさか神主があたしらのことを目撃してたなんて知らなかった。
そのことにしどろもどろになると、
「答える義務はありません」
キョウスケがあたしの前にさっと手を出し、あたしの言葉を遮った。
「黙秘権か?」
刑事が鋭い視線をキョウスケに向け、キョウスケはそれにもたじろぐことなく
「いいえ、しかるべき手順を踏んでくれたら洗いざらい喋りますよ。
でも俺たちは全員(一応)見成年者だ。
聴取をするにも保護者同伴じゃないと、あなた方の規則に反するんじゃありませんか」
刑事の睨みにもまったく動じずキョウスケが淡々と述べ、今度は刑事の方が忌々しそうに舌打ちをして
「少し待っててくれ」
と席を外した。
刑事が部屋を出て行って、今度こそあたしたち三人が残された。
「助かった、キョウスケ…」
はぁ
思わずため息を吐くと、
「いえ、その場しのぎです。次にこの手は通じません。保護者を呼ばれたら」
「そうだな。て言うかおかしいぜ。
あいつ、どう見えても殺人課の刑事だ。たかが賽銭泥棒だったら、警官やせいぜい生活安全課だろ?」
戒は扉の方を睨み、
「ええ、あれは神社で何があったのか大方予想がついてる口調ですね」
「なあ、もう隠すのは無理だって。洗いざらい喋っちまって、あとはサツに任せようぜ」
あたしが提案するも、
「却下」
「却下ですね」
二人してまたも否定されてしまった。