。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。
叔父貴は言葉通りに一分を経過すると、すぐにケータイの電源を切った。
それでも尚も追いかけてくる覆面パト。
お、追い払えなかった!?
焦って鴇田の運転する運転席と背後を見比べていると、
やがてパトカーはサイレンの音を消し去り、車もスピードを落として完全に止まった。
叔父貴
一体どうやって覆面パトを黙らせたのか謎だったけど、
やっぱすっげぇ人だな。
その後は車は安全運転で、多少わき道の細い道がありつつも順調に走っている。
てか鴇田ぁ!
もっと安全運転で振り切れよっ!乙女の顔に傷がついたらどーしてくれんだよ!
一人でプリプリ怒っていると、
「GPS……」
戒は唇に手を当て一人真剣に何事か考えてる。
そして少し考えると、慌てて自分のジーンズのポケットからケータイを取り出した。
「俺のケータイ……電源入ってへん。
あんた…何したんや」
戒はケータイを握り締めながら助手席の叔父貴の方を睨み、
「ほぉ。勘が良い様だな小僧。
お前たちの居所も知られるわけにはいかないんでね。
少しの間、電波を妨害させてもらってる」
叔父貴は黒い小さな箱をふらふらさせてニヤリと笑う。
あたしは言われてはじめて慌ててケータイを取り出した。
ほんとだ……ケータイの電源、落ちてる。
「GPS妨害もそうだが、外部に連絡を取られるとマズイんでね。
少しの間だけ辛抱しててくれよ?」
叔父貴―――…どこへ行こうとしてるんだよ。