。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。
戒は近くの地下鉄の駅まで歩いていった。あたしたちも距離を開けて後を尾ける。
戒は時折気にしたように後ろを振り向き、あたしたちはその度に電柱や建物に隠れる。
そろり、と顔を出すと
「気のせいか?」とも言いたげに首を捻り、戒はあたしたちの尾行に気付かず前を進む。
新垣 エリナの時よりも尾行に神経使う。
何せ相手は場慣れしてるヤクザだからな。
電車で二駅。都心の方に近づいて戒は駅を降りた。
「俺たちも降りましょう」
戒がどこで降りるのか当然予想できなかったわけで、でも…
PASMOチャージしといて良かった~
こうゆうとき便利だよな♪
あたしたちは駅でもたつくことなく難なく改札を出ることに成功。
戒はこの町に不慣れなのかきょろきょろと建物を確認しながら前を進む。
「ど、どこへ行くつもりだろう」
「さぁ。でもこの辺りは飲み屋街ですね。
高校生がふらっと立ち寄る場所ではないですよ」
キョウスケの言う通り、明らかにホストクラブやキャバクラと分かる店が連なっている。
「ねぇ君~可愛いね☆おねーさんたちと飲まない?
サービスするよ♪」
呼び込み…だろうか。派手なドレスを着たキャバクラおねーさま方に掴まっている戒。
「あ、あたしの彼氏に馴れ馴れしくすな!!」
思わずそう叫びそうになっていると、
トントン…
誰かに肩を叩かれてあたしが振り返った。
なんだよ!あたしゃ尾行で忙しいんだよっ。
「君、可愛いね♪
可愛い子にはサービスするよ??遊んでいかない?」
赤茶に染めた髪、黒い細身のスーツ。いかにもホストと分かる風体の若い男がにこにこ。
「お呼びやない」
ドスッ!
キョウスケがおっそろしい形相でホストの腹に蹴りをかますと、チャラいホストは腹を押さえながらもよろよろと逃げていった。
「おととい来やがれ」
キョウスケが中指を突き立ててホストの逃げていった方を睨む。
キョウスケ……ガラ悪りぃよ。