。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。
そのバトルの間、
「朔羅、俺はこれからトイレに抜ける。お前は五分後に抜けろ。
響輔は残って親父たちの動向を見張っててくれ」
ナイフを操りながら、何でもないように料理に向かいながら戒が呟き、あたしは目をまばたいた。
「了解。
お嬢、戒さんの方を見ないように」
そう指示されてあたしは慌てて料理に向き合った。
前菜のチーズを口に運び、言った通り戒は
「ちょっと手洗い」
席を立ち上がった。
「なんえ?食事中に失礼え?」
と鈴音姐さんが顔をしかめたが、
「まぁまぁ」と叔父貴が鈴音姐さんをいなして、戒の行動を気に留めてない様子。
その五分後、あたしは前菜の皿が下げられたのを見計らって
「あたしも…」と席を立ち上がった。
叔父貴が訝しむかと思って、
何て言い訳すればいいのか分からず、あたしは極力目を合わせないよう逃げるようにそのレストランを飛び出た。
戒の指定したトイレの前までたどり着くと
突如誰かに背後から口をふさがれた。
声も出せずに目を開いていると
「し!
俺や」
あたしの口を塞いでいた戒が声を潜めて、「こっちへ」と男子トイレに引っ張った。