。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。
――――
――
「お部屋は二部屋用意させました。戒さんとキョウスケさんが一部屋。
お嬢さんが一部屋。
これがキーです」
キリさんにカードキーを手渡された。
「せっかく同じホテルに居るさかい、うちと同じ部屋にすればええやないの」
おかんは渋っていたが、
「戒ももう母親と同じベッドで寝る歳やないさかい、好きにさせぇ」
親父は苦笑い。
一方響輔の方は…
「せっかく母さんと東京のホテル泊まれるんやし♪響輔邪魔やし、好きにせぇ」
響輔のおやっさんは弓枝姐さんの肩を抱き寄せ、響輔をしっし。
響輔、邪魔者扱いされてるし。
そのやり取りがされている一瞬の隙を狙いながら、
「じゃ、俺らこっちだから」
朔羅とすれ違う瞬間、俺たちはそっと手を触れ、朔羅の手からカードキーを抜き取った。
ちらりと部屋№を確認すると、3210室となっていた。
確認だけすると、すぐに
「朔羅」もう一度振り返り、
「飯うまかったな。今度俺がもっと“うまい”飯屋に連れて行ってやるよ」
必ずうまくやり遂げてみせる。
そういう意味を含めて。
俺が朔羅の髪をそっと撫で、頬にチュッとキス。
「戒さん♪やるやないか!」
響輔のおやっさんが楽しそうに手をたたいたが、俺はその言葉を聞き流し朔羅の耳元で
「カードキーサンキュ、バッグの中に」
「何やってるんだ」
龍崎 琢磨が俺をすぐに引き剥がし、
大人たちの前でほっぺたチューのパフォーマンスは効果があったようで、
誰も俺の不審な行動を目に留めていない。