。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。



――――…


案内された部屋は広くてきれいな


「てかこれダブルじゃね!!何でツインにしてくれなかったんだよ!!」


部屋に入って思わず俺は喚いた。


俺も響輔も同じタイミングでベッドを見て、そして同じタイミングで顔をそらし


同じタイミングで左右に分かれた。


「俺たち二人だけです。すぐに作戦決行しましょう」


響輔が扉に体を寄せると、ドアスコープから部屋の外を覗く。


俺は広い部屋を一通り眺めて、盗聴器や隠しカメラがないことを確認すると


「そうだな、早いほうがいい」


ベッドの枕元に置いてあるスタンドライトの線を引っこ抜いた。


「見張りがすぐ近くに一人」


響輔が顎をしゃくり、俺は無言で頷くと響輔は扉を開けた。


「すみません、この部屋のスタンドライトが壊れてるみたいで…


部屋を変えてもらいたいんですが」


すぐ近くに居た黒いスーツの男が


「確認する」と言って部屋に入ってきた。


俺はスタンドのコードの先と傘部分を握り、部屋の扉のすぐ内側に身を潜めた。


男は扉に俺が隠れてるとも気づかず


「どこのスタンドだ?」と振り返り、


「間違えた。壊れる予定やったわ」


俺はスタンドを思い切り勢いをつけて男の頭にぶつけ、男がよろけながらも慌てて腰の後ろに手を回す。



ハジキか!


「響輔!」


俺はスタンドを響輔に放り投げると、響輔はそれを受け取り


「手荒な真似してすみません、ちょっと眠っててもらいます」


響輔が素早くスタンドのコードを男の首に回し、男の首がコードで締まった。


男はうめき声を挙げながら、やがて静かになった。









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