。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。
裏口の扉を開けると、薄暗い通路が広がっている。
締め切った部屋は真っ暗で、すぐ先の足元も分からないぐらいだ。注意して歩かないと何かにぶつかりそう。
そう心配していたら、キョウスケがケータイの明かりを灯してくれて、僅かな範囲だけほのかな光が照らし出された。
でも…この僅かな明かりの中でも
ここがどうゆうとこかはっきり分からない。
女もののキツイ香水が入り混じっている。
「鼻がやられそうですね…こうゆう香水はちょっと苦手…」
キョウスケが鼻を押さえて
「でもお嬢のは好きですよ?」
て、今そんなこと言ってる場合じゃねぇって。
ここはキャバクラなのだろうか。
「さっき表記が見えました。たぶんガールズバーじゃないかと…」
ガールズバー…?噂でしか知らないけどキャバクラよりも安価で、気軽だとか。
でもこの店になんの用!?
てか戒はどこ!
キョロキョロと辺りを探っていると、
カタン…
近くで僅かな物音がした。
足音を殺してその音のした部屋へ近付くと、壁の側面に『PRIVATE ROOM』と書かれたドアがあった。
「事務所みたいですね」
キョウスケが声を押し殺し、ケータイの明かりを消した。
音を立てないようにそぉっと扉を開く。
事務所の中は小さなブラウン管と古びたソファ、それから事務机があるだけの簡素な造り。
戒はペンライトを手に、その光を頼りにその事務机の引き出しを漁っていて、
目当てのものを見つけたのか、
中から何かの分厚いファイルを取り出した。