。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。
響輔が男からインカムと集音マイクを奪ったときだった。響輔の背後から違うガードマンが二人現れた。
二人ともハジキを構えてやがる。
「交代用人は三人じゃなかったんかよ!
響輔!どけっ」
俺が怒鳴ると響輔は身を沈め、だが一瞬の隙をついて男が続けて発砲してくる。
なんっつー!短気なやっちゃ!!!
てか発砲とかマジかよ!!
きっと龍崎 琢磨から言われてんだな。不審な動きがあれば迷わず撃てと。
「ちっ!」
響輔は脇の非常階段の扉を開いて盾にして、
俺は男を盾に銃弾から逃げながら、それでも容赦なく男の肩や足に銃弾が浴びせられる。
赤い血の飛沫が舞い、
「おいおい、味方だろ!」
俺は怒鳴り声を挙げて、盾にした男の手を掴むとその上から引き金を引かせて
敵の手元を狙い撃ちした。
銃弾は正確に男の手元を狙い、男がハジキを取り落として手を押さえながら崩れる。
良かった。ミリタリースクールのときの勘が鈍ってなかったみたいだ。
「悪りぃな。こー見えてもシューティング(ホンモノの拳銃を使っての実戦授業)の成績は優秀やったからな」
俺は盾にしていた男からハジキを抜き取り脇に放り投げると、
手を押さえて床に崩れてる男の顎に一発蹴りをかましてやった。
脳震盪を起こして一発ノックアウトだ。後ろにぶっ倒れて静かになった。
俺はハジキを構えて残ったガードマンと対峙した。
銃口を向けると、男がビビったように一瞬だけ後ずさりして
「ガキだと思って甘く見られちゃ困るな。
俺の腕、分かるだろ?
さっきの一発はマグレなんかじゃない」
それだけ言ってやると男はゴクリと喉を鳴らしてまたも一歩下がった。
それでもハジキを降ろさない。
くそっ!監視カメラの領域に入っちまう。
苛立って引き金に手を置いたときだった。
カチャッ
背後で音がして、
「両手を挙げろ」
響輔がハジキの銃口を俺の後頭部に押し当てた。
響輔――――……!?