。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。
薔薇っ!?
■ 薔薇っ!? ■
4001室。
そこはこのホテルの一番高級でデラックスなスイートルーム。
部屋はこのフロアに二つしかなく、隣室は空室になってるみたいだ。
フロア中にスーツを着た男たちが立っている。
「どこへ行く気だ」
一人の男に肩を掴まれて、一瞬ドキリと肩がこわばったが、
「そいつは俺が呼んだんだ、
俺の大切な人だ」
スーツの上着を脱いで、ネクタイも解いた叔父貴がワイシャツとスーツのパンツ姿で扉を開けて、男たちは
「失礼いたしました!」
慌ててあたしから手を離す。
大切な人―――……
と言われて、違った意味でドキリと胸が鳴る。
「朔羅、入れよ」
叔父貴が部屋の内側を顎でしゃくって、あたしはおずおずと部屋に足を踏み入れた。
扉が後ろでバタンと閉まる音が聞こえて、ドキリ…!
またもあたしの心臓が大きな音を立てた。
『大丈夫だ、朔羅。俺たちがついてる。
まずはパソコンを確認しろ、自然にな』
インカムのイヤホンを通して戒の声が聞こえ、あたしは見えるはずも無いのにぎこちなく頷いた。
部屋は明るくて、白い調度品が目立つ。どれもスタイリッシュで洗練されていて
見たこともない広くて豪華な部屋に、一瞬任務も忘れて
「お姫さまみたいだ!」と思わず声をあげた。
こ、これがスイートルーム!ってやつか。
はじめて入ったぜ!
あたしのはしゃぎっぷりに叔父貴も特に不信感を抱かなかったのか、いつも通り満足そうに頷く。
女の子なら誰でも一度は夢見るはず。
豪華なスイートルームで、きれいな夜景を見ながら、大好きな人とはじめての夜……
戒と付き合う前に、
あたしはマンガやドラマでこうゆうシーンを見るたび、何度も何度も主人公をあたしに、彼を叔父貴に置き換えて想像してた。
夢にまで見たシチュエーションだけど、あたしがこの部屋に一緒に居たいと思う人は
想像した相手……叔父貴
じゃない。
『朔羅、大丈夫だ。俺はすぐ傍にいる』
この声の主、戒―――だ。