。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。



思いも寄らないハプニングでチャンス到来だ。


戒は


『朔羅!』と渋っていたが、


「このチャンスを逃したら二度とチャンスはないんだぜ!」


あたしが怒鳴り返すと、画面がダウンロード画面へと切り替わった。


あたしが何か触らなくても勝手にダウンロードしてくれるようで、画面にパーセンテージが表示されてる。


『落ち着いてください、戒さん。ここはお嬢の言う通りです。


ダウンロードは数分で終わります』


60%を切ったときだった。


ダウンロード画面を覗き込んでいると、





『朔羅、さっき一瞬沈黙があった。



龍崎 琢磨と何かあったのか―――…?』





戒の声がイヤホンから聞こえてきて、ドキリとした。


何か―――……


あたしは唇をそっと撫で、





叔父貴とキスをした―――




改めて思い出した。


でも、その考えを振り払うように頭を振ると


「………なんでもないよ。


それより…お前、叔父貴の腰痛を聞いたとき何で中止って言ったんだよ」



『…………』


今度は戒が沈黙する番だった。


あたしも戒も





お互い言えない"秘密”があるようだ。





恋人同士だってのに。




唇を噛んでると、



『朔羅!琢磨さんがそっちに向かった』


戒の緊迫した声を聞いて、あたしは、はっと我に帰り部屋の扉を凝視した。


額に嫌な汗が吹き出て、あたしはパソコン画面を振り返った。


80%


早く…






早く!




『エレベーターは現在35階。あと数秒で会長はそちらに向かいます。


お嬢、諦めてください!中止です!』


キョウスケの緊迫した声も―――




『朔羅―――……!』





あたしはインカムのイヤホンを外し集音マイクもポケットから取り出した。


その二つを床に落として足で踏みつけると、粉々になって壊れた残骸をベッドの下へ払った。





90%!








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