。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。



慌ててベッドから降りて薔薇の花束を手にとると、再びベッドに腰掛けた。


開いたままになってるノートパソコンを隠すように。



ガチャッ



部屋の扉が開いた。


あたしはノートパソコンを開いたまま、パソコンを背後で庇うように叔父貴を出迎えた。


戻ってきた叔父貴はさっきより幾分か回復したように思えたけど、やっぱり顔色が悪くて


小さくため息を付きながら上着を脱ぐとハジキと一緒にソファに投げ出し、ベッドへ向かってくる。


ドサッ!


思った以上に大きな音を立てて黒い拳銃がソファに放り出される。


一瞬その鈍い金属音にドキリと心臓が鳴った。


あ、あんな風に乱暴に置いて誤発砲とかないのかな。


と、ちょっと心配になったけど、セーフティーガードだってあるだろうし大丈夫なんだろうな。


と言うかやっぱり叔父貴はその扱いに慣れていそうだ。


そのことを考えると急に怖くなった。


今の一瞬の行動で、あたしのやってることのことの重大さを今さらのように実感した。


けれど叔父貴はあたしに何の疑いも抱いていないように思えた。


「だ、大丈夫だった……?」


「……ああ、姐さんたちは無事だ。だがあのフロアのガードマンが全員やられた。


あそこは特に強化していたが、



でも姐さんたちが無事だと言うから、侵入者の狙いが何だったのか…」




叔父貴はため息を吐いて靴も脱がずに、ベッドにごろりと横になる。


バレる!!


あたしはダウンロード完了画面を確認してなかったけど、後ろ手でそっと蓋を閉じた。


「ね、姐さんたちが無事でよかったね……」


何とか話を合わせるも、叔父貴はゆっくりと起き上がりパソコンをじっと見つめる。


そして眉をしかめると


「スリープ状態だったのに、シグナルが反応してる……」


叔父貴はノートパソコンの側面をそっと撫で、確かにそこに青いランプがちかちかと点滅していた。




ギシっ



叔父貴がベッドに手をつき、あたしを目の前で覗き込んできた。


ドキリ


として目をまばたくと





「なるほど姐さんたちのフロアのガードマンは戒の仕業か。



朔羅、俺のパソコンに何の用だ」







叔父貴はさっきまでの優しそうな表情から一転、急に表情を険しくさせてあたしの腕を掴んだ。




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