。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。
戒――――……
「は……はぁ…」
叔父貴は肩で荒く息をしながら、自分の下に組み敷いているあたしと、背後でハジキを構える戒とを見比べる。
叔父貴の乱れた髪の一房から汗が流れて、ごくりと喉を鳴らすと
やがて圧倒的に不利な立場にあるのを知ったのか、あたしからゆっくりと手を離して両手を挙げる。
「お嬢!こちらへ」
キョウスケが手招きしていて、あたしは何も考えず叔父貴の腕から逃れると乱れたブラウスを掻きあわせてキョウスケの元に走り寄った。
「おい…あんた朔羅に何をした」
戒が銃口を少しだけ持ち上げると、険しい視線で叔父貴を問いただした。
「…USBを破壊しただけだ」
叔父貴は力なく言って、後ろに両手を付く。
「嘘をつくんじゃねぇ!もう一度聞く、あんた朔羅に何をした!」
戒が銃口をさらに叔父貴に近づけて、叔父貴は苦笑を浮かべながら
「作戦を立てたのはお前か、戒。
それともキョウスケ、お前か?」
ガードマンに扮した二人を交互に見やり、叔父貴は深いため息をつく。
「答えろよ!朔羅に何をした!!」
戒がさらに詰め寄ると、叔父貴は銃口を向けられてるって言うのに
「じゃぁ聞くが……
俺の気持ちを利用して朔羅を近づけさせて、こうなることを予想しなかったのか?」
逆に聞かれて、戒は唇を引き結んだ。