。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。
か、戒―――!!!!
「ど、どうしようキョウスケ、バレちまった!」
あたしはおろおろとキョウスケの袖を引っ張ったが、
「まぁ、あれだけ派手に騒げば気付くでしょう」とキョウスケはあっさり。
「俺の後を尾けてきたんか―――…?」
戒は怒る、と言うよりもひたすらに驚いている様子だった。
そして鼻の先をちょっと押さえると、
「やっぱ…さっき新垣さんちの近くで嗅いだの…お前のチェリーブロッサムだったか…」
と目を伏せる。
「や、やっぱ気付いてたの…?」
おずおずと戒の方を窺うと、
「いや……まさか尾けられてると思ってなかったし…風向きの関係で一瞬だったし
気のせいかって思った。
ここは、匂いが混ざってお前の香りまで嗅ぎ分けられねぇし」
戒はむずがゆそうに鼻をひくひく。
「あなたは警察犬ですか」
とキョウスケが呆れたように戒を見て、
「んだよ。お前こそ、こそこそしやがって」
と戒はドスを含ませた声でキョウスケをちょっと睨む。
「あ、あたしが!あたしがこいつを引っ張ってきたんだ!」
あたしは慌てて二人の間に入ると、
ぐい
キョウスケはあたしを押しのけて一歩前に踏み出た。
「こそこそしてるのは戒さんの方でしょう?
何で俺たちに相談してくれへんのですか」
キョウスケは真剣に―――戒を睨んで、戒は少しだけたじろいだように目をまばたいた。