。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。
「痛かったら右手を挙げてくださいね」
お前は歯医者か!と突っ込みたかったけど、
ドクターの手際は良くておまけに丁寧だし、全然痛くない。
「お嬢さんは大人しくて助かりますよ、ふふっ。
龍崎会長に同じものを打ったら暴れて暴れて……猛獣使いになった気分です」
ドクターの話はどこまで本当で、どこから冗談なのか分からなかったケド。
叔父貴も―――打ってもらったんだ……
「狩猟用の麻酔銃の方が良かったんじゃねぇの?」
と戒が嫌味っぽく言って腕を組むがその視線は僅かにキリさんの方を彷徨っていた。
キリさんは戒の意味深な視線に気づかず、あたしをベッドに寝かしつけてくれる。
ツインルームのもう一つのベッドには戒とキョウスケが座っていて。
キリさんはあたしに布団を掛けてくれて、
「朔羅さん、寝る前にトークしましょう♪」と言って布団に入り込んできた。
女の人だから何とも思わないケド……き、キリさん!胸っ胸当たってるんですけど!!
違った意味で眠れそうにないな。
戒とキョウスケは隣のベッドに腰掛けながら
「「うらやましい…」」
と一言。
おめぇらも男だな。
「じゃぁ私がお話しを」
スチャッ!
素早い動作でベッドのすぐ近くに椅子を引き寄せて、ドクターも帰る気配を見せないし。
一人で眠れない……なんて、しんみり思ってたあたしがバカだったよ。
何なの、この状況!!
これじゃ騒がしくて逆に寝れん!