。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。



「正解☆です。君の推理力はなかなかのものですね♪


実に興味深い♪是非一度脳を調べさせて…」


「俺の体はお嬢のものです。誰にも触れさせません」


キョウスケは上を向いたまま、真顔でぎゅっと自分を抱きしめる。


キョウスケ…その顔で冗談とか…


「てかマジで?で、どーなったんだよ、その女は」


戒はよっぽど話の先が気になるのか、話を急かす。


「彼女は自分の組織から反対を受けながらも、それでも子供を生むことを決意しました。


そのことを知った彼女の組織は彼女を破門するのです」


「そんな……」


ロミオとジュリエットはそんなストーリーじゃなかった。


確か反対にあった両組織の目を欺いて、死を偽装して遠くへ逃げるって言う話だったはず。


結局それも叶わなくて二人とも死んじゃうけど……


「破門された彼女はその後彼に一度だけ連絡を取りました。


“あなたの子を身ごもりました”と。


彼は彼女を何とか迎えに行こうとしました。


組織を裏切り、逃げて遠くの地で彼女と二人で生活することも考えましたが


彼女は破門されても一人で生むことを決意し、その後




連絡は途絶えました」




「悲しい……お話しですわね」


キリさんがちょっとだけ眉を下げて、瞳を揺らす。


「その後、失意のどん底に居た彼を元気付けたのは、同じ組織の娘でした。




彼女は若く美しく賢くて、そして―――心優しく



とても温かい娘でした」




ドクターはゆっくりと言葉をつむいで、どこか慈愛の満ちた表情であたしを見つめてくる。





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