。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。
戒は大きな目をまばたき、
「何でて…せやから新垣 エリナと約束したし」
戒が僅かに俯いてあたしから視線を逸らす。
今度はあたしがキョウスケを押しのけて戒の前に一歩踏み出た。
何だか色んなことが苛立たしく思った。
約束を守ろうとしてるのは大事なことだし、それが戒の思いやりや優しさだとは分かっていた。
だけど、やっぱりあたし―――最初からちゃんと話してほしかったんだよ。
「バカっ!」
戒の頬を目掛けて手を振り上げようとしたが、
パシッ!
その手をキョウスケが掴んで阻んだ。
「離せっ。止めるな、キョウスケっ!」
あたしは喚いたが、キョウスケはあたしの手を離すどころか強い力であたしの手を押し戻すと、
無理やり浮かべた微笑であたしを見下ろしゆっくりと首を横に振った。
キョウスケ―――……
「いけません」
そう言われた気がして、あたしは力が抜けた。
だらり、と手を下ろすと
キョウスケは戒と改めて向き合い、いきなり戒の胸ぐらを掴んだ。
「戒さん、歯ぁ食いしばってください」
そう言い終わらないうちに
ドカッ!!!
キョウスケの拳が戒の頬を思い切り殴った。