。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。



「新たな女の登場?そいつがぜってぇ怪しいって。


二人の恋路をチクったに違いねぇ」


戒がまたも推理をして手をふらふら。どうやら火サスモードが抜け切れてないようだ。


「確かに、その可能性もあります。


何せその組織の美しい娘は、



実はずっと前からその若者に好意を寄せていたから」





「やっぱり!?嫉妬してたのよ、その女は。


陰謀よ」


キリさんも真剣な顔で頷き、戒と目配せ。


「まぁそんなことをするような浅はかな娘ではありませんので、それはご心配なく。


しかしそんなこととは知らず、彼は彼女の素直な温かさに癒され、やがてときが経つとともにそんな彼女に惹かれていったのです。


しかし彼女は組織のトップの娘、そして彼はそれを補佐する言わば影の存在の息子。


身分違いの恋に彼は悩みました。


しかし日に日に恋心は募るばかり。


互いに恋い得る気持ちが膨れ上がり、ある晩―――……フフッ」



「またエッチしたんか?」


戒が面白そうに「ケケケ」と笑い、


すっげぇロマンチックな話を聞いてたのに、お前の一言で台無しだよ!(怒)


「その彼、きっとテクニシャンだったのよ♪」とキリさんまで。


「まぁまぁ、お二人とも♪まだまだお話しは終わってはいませんよ。


彼女はそのとき親が決めた婚約者がいました。しかし彼に恋をする気持ちを止められなくて」


「性欲が止められなかったのね~♪分かるわぁ♪


私も……うふふ」


キリさんがまたも口を挟み、


「朔羅もそうなってくれればいいのに」


と戒もしんみり。


またもお前らかよ!


あたしゃ話の続きが気になるんだよ!いちいち突っ込むな!!


最初は軽~く聞き流すつもりだったのに、すっかりドクター版『ロミオとジュリエット』にハマったあたし。


だってドラマみたいじゃん♪


『禁断の関係、決して結ばれるはずのない二人は…』なんてキャッチフレーズが浮かんできそうだ。


「お嬢は好きですよね、そうゆう話」


胸の前で腕を交差したままのキョウスケが天井を見ながらぼそり。


てかお前、まだその格好なの??






「と、まぁたった一晩若い男女は禁忌を侵してまで契ったわけですが、



彼女はその晩のことを誰にも言うことなく、やがては親の決めた婚約者と結婚することになりました」




まぁ、そうだよなー…


手に手を取り合って逃げたら、もっとロマンチックだったのに。


てか何かリアルだよな~








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