。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。
コーヒータイム!?
■ コーヒータイム!? ■
―――
夢を見た。
眠る前に『ドクター版ロミオとジュリエット』の話を聞いたからだろうか。
「………お嬢…」
そう呼ばれて目を開けると、目の前に
鴇田が立っていた。
何で鴇田??
夢だったらさー、戒の夢みたいよ。
何であたしが一番嫌いなヤツを出すかなぁ。
呆れながらも、あたしはその場から逃げることなく鴇田と向き合っていた。
いっつも目つきの悪い切れ長の眼を、穏やかに揺らしてあたしにそっと手を伸ばしてくる。
あたしは逃げたかったのに、何故だか動くことができなかった。
でも不思議と
怖くない。
鴇田の目が何かを企んでいるような視線じゃないから、かな。
まるで金縛りにあったようにその場で立ち尽くしていると
鴇田の手のひらが優しくあたしの頬を包んだ。
あったかい手のひらだった。
「美しくご立派に、成長された。
私の愛した人、たった一つの忘れ形見―――
あなたのお側であなたの成長を見守ることしかできない私を
どうかお許しください」
鴇田は今にも涙を浮かべそうに瞳を揺らし、小さく謝ってきた。
何でお前が謝るんだよ。
わけわかんないし。
何で……
―――「おとー……さん…?」
ぽつりと呟き、あたしは目を開けた。