。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。
キョウスケのパンチは相変わらずな威力で、気心知れた幼馴染相手だってのにまるで容赦がない。
キョウスケのパンチをまともに食らった戒はよろけて壁に背を打ち付けた。
殴られた頬を手でさすりながら、
「て…っめぇ!!何しやがるっ!」
すかさずキレた戒の脚がキョウスケの腹めがけて飛んできたが、キョウスケはその脚を両手で受け止めて阻んだ。
脇をしめて僅かに腕をひねると、片足の動きを封じ込められた戒は再び壁に叩きつけられる。
バンっ!!鈍い音がして戒はそっさのことで壁に手をついてダメージを軽減した。
「くっ!」
「きょ、キョウスケ!
戒!!大丈夫かっ」
あたしは床に崩れた戒のもとに慌ててかがみこむと、戒は忌々しそうにキョウスケを睨んでいた。
「いつかのお返しですよ。
ここは龍崎組やないから思う存分喧嘩が出来ます」
キョウスケが手を組んでボキボキっと手の関節を鳴らす。
「なるほど、お前がこないだ反撃に出んかったのはその掟を知っとったからか。
上等や。
売られた喧嘩はきっちり買うてやる!」
戒もキョウスケを睨んで手に力を入れるとむくりと起き上がった。
「ちょ、ちょっとこんなところで喧嘩はやめろよ!」
あたしが叫んで間に入ったものの、
キョウスケは関節を鳴らしていた手を解いて腕を降ろした。
「二発。これでおあいこです。借りは返しましたよ」
「え―――……」
あたしが目をまばたいてキョウスケを見上げると、すぐ背後で戦意喪失したのか戒も力を抜いたのが分かった。