。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。
「そうですね」
鴇田はさらりとそう言って皿を並び終えると、あたしの向かい側に腰を下ろした。
「おい!
そこは『そんなことありません』だろうが!」
鴇田はあたしの目の前で憎らしい程なっがい脚を組みながら
「気休めにそんなことを言ってあなたの気持ちが晴れるんですか?」
逆にそう聞かれてあたしはぐっと詰まった。
「もしそうなら、私はいくらでもあなたに嘘をつきますよ。
思ってもないことを言って、あなたが安心するのなら。
でもあなたはそれを望んでいない。
あなたは自分の言ったこと、自分のしたことをしっかりと受け止め、あなたなりに反省をしている」
そう言われてあたしは顔を上げた。
「それでいいんです。
あなたは自分の発した言葉に責任を持ち、反省することができる。
人の痛みを感じて、思いやることができる。
それは人として素晴らしいことだと私は思います」
鴇田は今まで淡々とした表情から、わずかに笑みを浮かべて微笑みを向けてくる。
あたしは―――
鴇田のこんな顔知らない。
はじめてみるその笑顔は―――夢で見た、あの慈愛に満ちた笑みに重なった。