。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。
「てか!近親相姦じゃねぇかよ!」
何も深く考えていたわけじゃないのに、つい言葉が出た。
「………」
鴇田はさっきのオフザケから一転、目を開きあたしを真剣に見据えてくる。
「お嬢……何故…そのようなことを……
キョウスケに何か聞いたんですか?」
あまりに真剣な顔で言われて、あたしの方がびっくりした。
「な、何でキョウスケが出てくるんだよ。何も聞いちゃいねぇよ…」
何であたしもあんなこと言ったんだろう。
寝ぼけてんのかな…夢と現実と昨日ドクターが聞かせてくれた『ドクター版ロミオとジュリエット』のせいもあるのかな…
とにかく勢いこまれてあたしは逃げ腰。
「俺がどうかしました?」
いつの間にか起き上がっていたキョウスケがベッドの上に腰掛けて頭の後ろを掻いている。
ほ…キョウスケ起きてくれたか…
そう思ったが、
キョウスケは裸の体に黒いボクサーパンツ一丁の姿であくびを漏らしている。
てか、何でお前パンツ一丁なんだよ!
乙女の前だって言うのにキョウスケはマイペースに欠伸をしながらクローゼットの中からガウンを取り出し、腕を通している。
白い背中に浮かび上がった鷹の紋がガウンの中に隠れて、キョウスケはこちらを振り返った。
「俺が何か?」
もう一度聞かれて、でもその問いは鴇田に向けられたようだった。
「いや…何も」鴇田は歯切れ悪く答えると、キョウスケから視線をそらした。
何だってんだよ、鴇田のヤツ。