。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。



TRRRR


タイガのケータイに電話が掛かってきて、


「ごめん、うさぎちゃん。事務所から呼び出しだ。戻らなきゃ」


タイガは眉を下げてさも残念そう。


「早く行け。そしてしっかり励んでこい」


あたしは出入り口の方を指し示すと、タイガは苦笑いでトイレットペーパーを掲げてレジへと向かった。


「またね~☆」と、投げキッスをすることは忘れずに。


リコはあたしの影に隠れながらもまだ威嚇してる。


「もう二度と会いたくないし!何なのあの人!」


「さ、サクラ……あのおにーさんと知り合いなの??」


一方タイガの後ろ姿をぼんやり見送っていたエリナが慌てて聞いてきて、


「あー、まぁうちの傘下の構成員…」


言ってしまってはっ!となった。あたしまだエリナには極道一家のお嬢とは言ってなかったんだぁ!!


だけどエリナは気にした様子は見せず


ほぅ…と可憐な吐息。



…………


……は?


あたしとリコは思わず顔を見合わせ、


「ちょっとエリナ…?」


慌ててエリナの顔の前で手をふらふら。





「見つけた…あたしの王子さま」





王子……



はぁ!???


「ちょっと待て!あいつのどこが王子なんだよ!」


「エリナ、視力大丈夫!眼科に行った方がいいんじゃない!?」


あたしとリコはエリナを必死に“こっち”の世界へ連れ戻そうとするも


エリナの目は恋する乙女そのもの。


てか何で!?どこが好きポイントなんだよっ。


だってこないだカフェで会った時、あんたタイガにめちゃめちゃ言われてたじゃん!


「って言うかっ!あいつは悪名高い(?)鴇田組の構成員でな!!


背中に狼の紋を背負ってるヤクザなんだよ!」


「そうよ、そうよ!」


そう説明するも、エリナはうっとりと頬を緩ませてタイガが店を出て行く様子を見守っている。


ま…まさかまさかのマドンナ新垣 エリナが変態タイガに一目ぼれ!?


勘弁してよ~~!





何なの、この展開!!








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