。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。
「できた☆
でも……こーやってみると
“you”に似てない?」
リコが言い出し、あたしは目を開いた。
慌てて鏡を覗き込むと、確かに……似てなくはない。
本人もっともっと…てか比べるのが申し訳ないぐらい美人だけどな↓↓
「youって??」
エリナが不思議そうに聞いてきて、
「十月公開予定の映画の主役の女優だよ。ほらこれ」
リコはケータイで『双りぼっち』のサイトを探して、エリナに見せている。
「あ、ホントだ~良く似てる~
サクラ女優もイケるんじゃない♪」
いや、無理。
女優なんて大変な仕事無理。
「飲み物も空になったし、あたし何かとってくるよ」
これ以上二人のおもちゃにされるのは勘弁。と言う意味で半ば逃げるように腰をあげたのに
あたしが空になったグラスをトレーに乗せて立ち上がると、
「あたしも一緒に行く。手伝うよ」
とリコも立ち上がり
「あたしも」
と何故かエリナも。
これじゃ逃げる意味がないし。
てか、あたしは今まで女の子の友達少なかったからあんまり感覚が分かんなかったけど、何となく集団で行動する意味が分かったり。
特に理由なんてないけど、一緒に居れば居るほど―――楽しいよね。
結局三人で部屋に出ると、組員たちは半径一メートル以内に近づくな、と言う言葉を守ってくれてるみたいで、部屋の外には誰にもいなかった。
「ただいま戻りました」
貸金業のバイト帰りなのだろうか、キョウスケが玄関口で靴を脱いでる後ろ姿に
「よっ、おかえり!」
気軽に声を掛けるとキョウスケはゆっくり振り返り、あたしを目に入れると
トンっ
スニーカーが地面に転がり、手を宙ぶらりんにさせて
「一結――――…?」
目を開き、その場で固まった。