。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。
「え―――……?」
最初は冗談のつもりかと思ったけど、よく考えたらこいつが冗談とかないよな。
だって本気で驚いてるっぽいし。
珍しいな、何事にも動じないヤツが。
「違う違う!朔羅だよ」
慌ててあたしが言って自分を指差すと、
「…………お嬢…?
…失礼しました…」
キョウスケはさっきの動揺から抜け切れていないのか、まだ目をまばたきし、しげしげとあたしを見てくる。
「ただいま~響ちゃん♪川上と新垣さん来てるんだって??☆」
一人楽しそうにキョウスケの背後から現れた戒も、目を開いて一瞬後ずさり。
ズサッ!
「め…女狐!?」
「女狐とは何でぃ!」
あたしが腕を組んで鼻息を吐くと
「…あれ?朔羅??」
と、こっちはすぐに気づいたみたいだ。
当たり前だよ!旦那にも間違われたら最悪だぜ。
「一瞬あの女狐かと思ったけど。てかお前可愛くしてもらったんだな~♪
雰囲気違ってなんか新鮮かも~☆」
戒はリコとエリナが居るにも関わらずあたしの頭を撫でなで。
「り、リコとエリナがやってくれたの」
あたしが振り返って二人を見ると
「お邪魔してます」
エリナが律儀に頭を下げ、
「お邪魔してます。きょ、響輔さん……
あの…こないだは…」
リコが緊張した面持ちで声を掛けると、キョウスケはリコの言葉を最後まで聞かずして、
「どうも。ゆっくりしていってください。
俺、これから出かけてきます」
とそっけなく言ってきびすを返す。
あたしのすぐ背後でリコがショックを受けたように身を固まらせて、
「あいつ!!何だよあの態度ぁ!!」
いつになく冷たいキョウスケにあたしは噴火するような勢いで怒鳴り声を挙げた。