。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。



「キョウスケっ!てめぇ、可愛い女子高生からちょっと告られたからっていい気になってんじゃねぇ!」


あたしは中指を突き立てて、廊下の奥へ消えたキョウスケの姿を思い浮かべ喚いた。


「さ、朔羅…」


リコが困ったようにあたしの腕を取り、


「まぁまぁ、響輔だっていきなり川上に会ってびっくりしてるだけだって」


と戒には宥められる。


「何だよお前、あいつの味方か??同じ男だから?」


「んなわけねぇよ。誰の味方とかないし。


俺は自分の恋愛にいっぱいだからな」


戒は腕を組んであたしを睨み降ろし、なんだか意味深な目で見られてあたしはドキっ。


な、何だよ、お前まで……




「やっぱその髪型だとさー、ダウンもいいけど、アップスタイルもいいかも。


ほら、前髪も全部オールバックにしてさぁ♪」




戒はあたしの髪に手を入れると前髪を後ろへ搔き揚げた。


「あ、ホントだ。色っぽい」


キョウスケとリコの間に流れる不穏な空気を察してか、エリナも慌てて同意して話題を逸らす。


「龍崎くんて意外とセンスあるね」


エリナが強引に話を振って


「俺、女の子の髪結うの好き~♪♪」


と、戒は素で同意。


リコは―――……



廊下の奥へ消えたキョウスケの姿を、見えないはずなのにずっとずっと見つめていた。







< 354 / 841 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop