。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。
その後マサを呼び寄せ、リコを車で送ってもらうことにした。
もちろんあたしも同乗だけど。
リコを送り届けると
「朔羅、今日は色々ごめんね。そしてありがとう。少し時間が経ったら落ち着くと思うから」
リコはまだ涙の浮かんだ目を拭い、わざとらしいほどの笑顔を浮かべてあたしに手を振ってくれる。
「ゆっくり…ゆっくりでいいからな。無理するなよ」
あたしはそう返して手を振り、川上家をあとにした。
―――
――
家に帰ったら……
あたしのお部屋の中で戒がしかめ面を浮かべて腕を組み、
エリナは黙って戒の向かい側で体育座りをしていた。
掛けるべき言葉に困っているようだった。
もっと早く帰るべきだったか。
エリナの傍に居ろ、とは言ったけれどキマヅそうだ。
あたしが部屋に戻ると
「サクラ…」エリナがぱっと顔をあげ、戒は
「遅かったな」
と、たった一言。
何だよ、お前リコに酷いこと言ったんだぜ?もっと反省しろよな。
リコはちゃんと反省してたってのに。
不機嫌戒につられてあたしも不機嫌。
む゛~と戒を睨んでいると、不穏な空気を読み取ったのか
「サクラ…リコは大丈夫だった?」
とエリナが心配そうに聞いてくる。
「だいぶ落ち着いたよ。ちょっと落ち込んでたけど」
リコの状態を説明すると
「じゃ、俺も部屋戻るワ。新垣さんごゆっくり」
とこれまたいつもと違って無愛想に出て行く。
何だよ!お前っ!!
怒鳴り返してやりたかったが、エリナの居る手前それもできず…
あたしは帰る戒の姿を黙って見送るしかできなかった。
そしてこの日キョウスケは
帰ってこなかった。