。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。



俺が渡した手紙はほんの一部。俺の“秘密”の部分に触れて書き綴ってあった場所は切り離した。


「パソコンで打たれた文字だな。まぁ今時直筆で脅迫状を出してくるバカなヤツはいないか」


脅迫状―――と、捉えるべきだろうか。


これを送ってきたスネークのもくろみが俺には分からない。


分かっているのは都内で死んだ男二人はヤツに関係した者だと言うこと。


何らかの制裁にあって殺された。


単なるプロパガンダの為―――とは思えない。


「これ以上関わるな」とでも言いたげなのだろうか、


そうはいかない


我々はこんな小さな脅しに屈する人間ではない。


こちらの性格や立場を熟知しているものならこれが無意味なものだと気づくはず。


じゃぁ何故―――


何かのメッセージなのだろうか。


それよりも何よりも厄介なことを掴まれた。


十七年前の手紙をヤツに読まれた、と言うことだ。


ヤツは暴露するつもりはないと言ったがどこまで信用できる?


俺は同封されていた色褪せた過去の手紙を捨てることはせず、もちろん会長の目に触れされることもできず、今もスーツの胸ポケットにしまわれている。


もしかしてターゲットは会長ではなく、俺なのかもしれない。


そうだとしたら病院で狙撃された説明もつく。


だが俺が狙われるわけは―――


依頼人がいれば別だが、ヤツの動きを阻止できるほど俺はヤツの重要人物ではないはず。


そう思いながらコーヒーを一口。


それはキリが淹れるコーヒーよりも若干苦味が多く、酸味も欠けている。


あいつはコーヒー“だけ”は淹れるのが得意だから。



そう考えて納得がいった。



なるほど





切り札は―――キリか。



俺が彼女と結婚しようとしているから―――



それともやはり






イチなのか。





イチが依頼したのか。俺の殺害を。











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