。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。
「何もお前たちがやったかと聞いているわけじゃない。関わりはなかったのか?と聞いてるだけだ」
「焼死体でしょう?身元が判明しなきゃ関わったかどうかも分からないですよ」
キョウスケは軽く肩をすくめ、
それもそうだな、と思い直した。
「何故俺にそんな情報を?
龍崎会長は俺たちになるべくスネークに関わらせたくない様子なのに」
「スネークに近づけたくない、会長のそのお心に変りはないさ。
だけど私は別だ。お前たちがどうなろうと知ったこっちゃない」
「随分はっきりと言いますね。
じゃぁ協力しろと?答えは
NOだ」
そっちも随分はっきり言うじゃねぇか。
「協力、とまではいかないが、ただ知りたかっただけでね。
お前が掴んだ事実―――
お前はどこでどう知ったのか。
この情報はその情報料だ」
キョウスケはまだ出しっぱなしになっているスマホを眺め、
「口止め料にしちゃ少ない気がしますけどね。
Sに…スネークにもつかまれました?あなたの秘密」
そう指摘されて思わず口を噤んだ。
こんなにもあっさり見抜かれて、言い訳も思い浮かばずじっとキョウスケを凝視していると
「沈黙は肯定の意味と捉えます。
なるほど、それは厄介なことですね」
俺はコーヒーを一口飲み、乱暴にソーサーにカップを置いた。
「遠回りに聞くのは面倒だ。私の“秘密”を何故知った」
「あなたの行動見たら誰だってピンときますよ。感情が先走る戒さんやお嬢は気づいてないみたいですが。
冷静になって完全な第三者としてあなたを見ていたらすぐ気づくことです。
一結の数珠とピアス―――取り返そうとしなければ、俺だって疑いは持たなかったですよ。
まぁ何としてでも事実を隠蔽したいあなたにとって死活問題ですが」
―――……
テーブルの上で握った拳がぎりぎりと音を立てているような気がした。