。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。
一人で考えていると、
「ちわッス!!姐さんオツトメごくろうさまっス!!」
これまた空気を読めないバカ元気なキモ金髪野郎の登場にうんざり。
「何だお前、夏休みだってのに暇なんか?」
「そんなことないっスよ。姐さんのお店の売り上げ貢献ス」
「頼んでねぇ」
あたしがしかめっ面でトレー拭きを再開させていると、優しいのか律儀なのかエリナが
「いらっしゃいませ、ご注文は」
とにこにこ笑顔で受け答えしている。こんなヤツに気を遣う必要なんてないのに。
「はぁ~ここ天国っスね。アイスカフェオレ一つ♪」
「新垣さん目当てだったらやめておけよ?」
いつのまにオーダー聞き取りから戻ってきたのか、戒がにやにや意味深に笑って、
「違いますよぉ!今日は兄貴たちを俺ん家が所有してる別荘に誘いに来たんス」
と手を挙げる。
「別荘!!?お前…そう見えなかったけど実はいいとこのボン…?」
あたしは疑い深い目でキモ金髪をじろじろ。
「そんなに大したもんじゃないっすよ。こっからちょっと遠いし小さいけど、
目の前海の、ログハウス風別荘」
目の前海のログハウス風!!?
それはまさしく乙女が夢見るロマンチックシチュエーション上位に入る場所じゃねぇか!
「金持ちのぼっちゃん風には見えないけど、人は見かけに寄らないって言うしな」
戒もこそっとあたしに耳打ち。
あたしは同意する意味で大きく頷いた。
「バーベキューや花火やりましょうよ!
キョウスケの兄貴も千里も、リコちゃんもいつものメンバーで♪」
いつものメンバー??
そりゃそのメンバーだったら賑やかで楽しそうだけど…
だけど
あたしと戒は思わず顔を見合わせ、
「あ!新垣さんもどぉ?庭が広いからバーベキューとかできるよ」
ちゃっかりエリナも誘っているキモ金髪に呆れながらも
「何、バーベキュー??それはいいじゃん♪
朔羅行こうぜ~~」と戒はすっかり乗り気。
てかやっぱいつも通りだぜ。
「でもメンバーに若干問題アリじゃね?リコもキョウスケも今回はパスするだろうし。
そうなったら千里とエリナ(勝手に入れてる)とお前だろ?」
あたしが指を折って数えていると
「何すか??リコちゃんとキョウスケの兄貴喧嘩でもしたんすか?」
とキモ金髪がなぜかわくわく聞いてくる。
「喧嘩とかじゃねぇよ。そもとも喧嘩する仲でもねぇよ……」
言いかけてピンときた。
「なぁ!リコとキョウスケにはお互いメンバーを黙ってて連れてくるってのは!?」