。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。
き…
「キモっ!!!!」
思わず身震いして両腕を抱きしめると
キリさんはくすくす失笑。
「あの人も随分な言われようですね」
「あいつ!何か悪いもん食ったんですか!?
それとも頭でも打った!?」
は!
まさかバケットサンドに何か怪しいクスリが仕込んであったのか??
思わずバケットサンドから慌てて手を離し皿に置いて、
鴇田が出て行ったほうを指差し、あたしがキリさんに質問すると
「頭は打ってないし、変なもの食べたわけでもありませんわ…たぶん、私の知る限りでは」
「じゃぁ何で!」
思わず勢い込むと
「彼は元からああですよ。ただ“他人”には潔癖だからそんなことしないと思いますけど
朔羅さんが彼の“内側”に入ったから―――だと思いますわ?」
キリさんはのんびりと答えた。
内側??
まるでなぞなぞのような答えに、あたしは首を捻った。
「私はあなたと翔が普段どうなのかはあまり知りませんけど、あまり仲はよろしくないようで」
「当たり前です。だって嫌いだもん。
鴇田だってあたしを嫌いなはずですよ?」
きっぱり言うと、
「そうかしら?」
と、キリさんはまたも意味深に微笑む。
な、何だよ…
絶対鴇田はあたしを嫌ってるって。
「人間てのは複雑な生き物でして、感情や気持ちは好きか嫌いの二分割だけじゃないんですのよ?」
分かんねぇよ。
好きと嫌い以外……一体どんな感情があるって言うんだ。
あたしは一人もやもやを抱えてるってのに、キリさんはマイペースにまだサンドイッチを食っている。
その手を止めず、キリさんはちょっとした雑談のように気軽な感じで
「戒さんと喧嘩でもしました?」
と聞いていた。
「………え―――……?」
「だって二人とも…何だかギクシャクしてる」
キリさんはちょっと苦笑いで
レジカウンター内で歯を剥き出して威嚇している戒を目配せ。