。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。

強請り!?


■ 強請り!? ■


あたしたち三人は伸びている男をソファに移動させて、ガールズバーの裏口をしっかり閉め


今度は新垣 エリナが待ってると言うファミレスまで出向いた。


新垣 エリナは戒を待っていただろうが、あたしとキョウスケを目に入れると驚いたように目をまばたき。


「龍崎くん…と、龍崎さん…?


それとえっと…龍崎くんのお兄さん…?」


キョウスケを見て新垣 エリナは目をぱちぱち。


「これ?響ちゃん」戒が説明にならない紹介をして、


「響ちゃんです」とキョウスケが手を挙げた。


なんだよ、その自己紹介はよぉ。


「こいつ…戒の兄貴じゃなくて幼馴染」


あたしが補足の説明を入れると


「幼馴染……ああ!」と新垣 エリナはようやく納得したように頷いた。


戒と待ち合わせしてだろうに、あたしたちが現れてさぞ驚いているかと思ったが、


新垣 エリナは



嫌そうではなかった。


それどころか心の底からほっとしたような、安堵の色を浮かべてあたしたちを見ると


小さく微苦笑を浮かべた。




「あらかた事情を説明してこいつらにも手伝ってもらった。


てか、やっぱり俺一人じゃ無理だったから、


ごめんな」


戒が新垣 エリナに謝って、


「ううん。あたしこそ―――みんなを巻き込んで


ごめんなさい」


新垣 エリナも頭を下げた。


あたしたちは新垣 エリナに向かい合う形で座ろうとしたが、


「龍崎さんは、ここに」


と新垣 エリナが自分の隣を指定してきて戸惑ったものの、頷いて大人しく隣に腰掛けた。


新垣 エリナが頼んだあろうアイスティーはもうほとんどなくなっている。


「お代わり、頼みますか?


何か飲んだ方が落ち着くでしょう?」


キョウスケが言って新垣 エリナにメニューを手渡すと、新垣 エリナは恐縮したようにメニュー表を受け取った。


「お、おなかすいてない??あたし甘いもん食いたいんだよね!


パフェ食いたいな~新垣さんもどぉ?」


気を遣って言うと新垣 エリナはほんのちょっと笑って


「支払いのことは気にしないでよ。ここはキョウスケの奢りだ!」


と勝手に決め付けてるあたし。


当の本人は気にした様子もなく


「塩辛食いたい」とまたもマイペース発言。


おめぇ…こないだからどんだけ塩辛求めてんだよ。


「面白いね」


くすっ


新垣 エリナが少し気を許したように微笑んで、あたしもちょっと安心した。





< 39 / 841 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop