。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。
「ただの偶然でした。
でも偶然と片付けるには簡単過ぎる―――
恐ろしいほどのあの一瞬。
目が合ったときは遅かった。
コーチは、そのお店が20歳以上じゃないと働けないことを知ってて、
あたしを強請ってきたんです」
あたしは新垣 エリナの言葉に頷いて、ぎゅっと手を握り返した。
その手の力に安心したのか新垣 エリナが泣きそうな顔であたしを見つめてくる。
「胸糞悪い話ですね。最低な男や」
キョウスケが珍しく他人の前で機嫌悪そうにして窓の外を眺めた。
戒もどこか遠くを見ていて、でも耳に全神経を集中させてるのか新垣 エリナの言葉を聞いて目の端がぴくりと引きつっていた。
「い、言い辛いことだけど、お、お金……取られたの?」
あたしが聞くと
「お金は取られてない。高校生の女子からたかるって言ってもたかが知れてるでしょう?」
「ま、まぁそうだよな」
「あいつはお金より酷い―――あたしとの関係を迫ってきたの」
ドン!
戒がテーブルを拳で叩いて、あたしと新垣 エリナは思わず二人してビクリと肩を震わせた。
「淫行教師、ぶっ殺してやりてぇ」