。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。
「でも証拠がないじゃん。写真撮ったわけじゃないだろ?
店で会っただけなら、知らばくれればよかったんじゃない?」
あたしが言うと、
新垣 エリナはゆるゆると首を横に振った。
「学校に知れればお前は退学、専門学校へ行くのもメイクアップアーティストになる夢も断ち切られるぞ、
て言われて、言い訳も浮かばず頭の中が真っ白になった。
元々、あたしがそんなところに出入りしなければそんなことにならなかったし。
誰にも相談できず、
あたしはあいつの言いなり。
そこからあいつとの関係がはじまった」
新垣 エリナの声は震えていた。懸命に涙を堪えているようであたしは思わず新垣 エリナの背中を撫でさすった。
「戒、おめぇのココアちょっと貰うぞ?」
戒のココアを引き寄せて
「ほら、これ飲んで…ちょっとは落ち着くよ?」
あたしが勧めると、戒とキョウスケはキマヅそうに顔を見合わせて
「俺ら席外すよ。女同士の方が喋りやすいだろ?」と二人が僅かに腰を上げた。
「ううん!いいの!居てっ。
みんなには協力してもらってるし、
誰かに話すとすっきりするって言うか…」
新垣 エリナが慌てて
「変な感じなの…
知られたくないって思う一方で、話しちゃうと楽になるって言うか…」
分かるよ―――
あたしもそうだったから。
大丈夫、戒もキョウスケもあんたのこと決して軽率だとも思わないし、
軽蔑もしない。
秘密を誰かに漏らすようなことはしない。
こいつらは全てを受け止めて、あんたの救いになってくれる。
あたしが戒に受け止めてもらったように―――
キョウスケがさりげなく気を遣ってくれるように―――