。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。



わ、分かんないって!?


ぇえ!!?


あたしはストローから口を離して思わず口をぱくぱく。


「かっこいいけど、特別好みだったわけじゃないし、どっちかって言うと王子様タイプが好きだし」


ま、まぁ王子ってキャラじゃないことは確かだな。


側近その①ってタイプだ。



「それに男の人にはリードしてもらいたいから、向こうから喋ってほしいってあったけど…


でも『あ…なんかこの人いいなー…』って思った瞬間があってね」


リコはアイスミルクティーのグラスを手のひらで包んで目を伏せると口元に淡い笑みを浮かべた。


白い頬はバラ色で、化粧けのないリコの頬に天然チークが施された。





リコの横顔すっげぇ可愛い…てかきれい。


なぜだか突然、客観的にそう思えた。


リコはあたしの知らない






の顔をしている。



「朔羅は知ってるだろうけど、薙刀の練習試合したことあったでしょう?龍崎くんと響輔さん」


あたしはちょっと前に二人が道場で薙刀の試合をしたことを思い出した。


あのとき??


どこにトキメキポイントがあったのが分からないが、とりあえずリコの話を聞いてみた。


まぁ確かに戒はあの時かっこよかったけどな♪


「響輔さん…あたしたちが試合の後で話に夢中になってたとき、


一人で薙刀とか防具とか片付けしてたの。


イヤな顔一つしないで黙々と。


誰にも気づいてなかったけど、『あ、ちゃんとしてる人なんだなー…』ってその瞬間思って、


でも次に背中の刺青見たときは


『やっぱりヤクザだなぁ』とか。


ヤクザな人なのに、きっちり後片付けとか…真面目??ってそのギャップがなんか可愛い…って思ったら


そこから何か急に意識し出しちゃって…」


いわゆるギャップ萌えってヤツか??


あたしもひ弱メガネの強いところにギャップ萌え~♪


……じゃなくて。


「今でもはっきりどこが好きとか言われても答えに悩むけど、でも一緒にいるとどうしようもなくドキドキするの。


ずっとずっと一緒にいたい。


あたしの方を見てほしいって





何故かその想いが日に日に強くなっていくの。




支えてもらいたいし、支えてあげたい。



包んでもらいたし、包みたい。



悲しみも喜びも共有して、あの人の中をあたしで満たしたい。




そう思うの、変かな……」




悲しみも喜びも、支えて支えられて―――



共に―――……



リコの言葉はまるで結婚式の誓いの言葉のように思えた。



それはとても神聖で―――







“比翼の鳥”と例えた叔父貴も



同じ気持ちなのだろうか。








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