。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。

*一結Side*






◆・.。*†*。.・◆・.。*†*。.・◆・.。*†*。.◆

.。*†*。. 一結Side .。*†*。.





あたしには物心つく前から『父親』はいなかった。


普通の家庭には絶対いる存在。


『大きくなったらパパと結婚する』とか


『パパ大好き♪』


と言うことを言った覚えもないし、その対象もいなかった。


(成長して違う意味での“パパ”はたくさんできたけどネ)


ママは女手一つで育ててくれた。


小さい頃は寂しいなんて思わなかった。だってその分ママがあたしに愛情を注いでくれたから。


あたしにはいつもママが居た。


授業参観も運動会も、誕生日もクリスマスパーティーも全部全部、父親がいない分ママがやってくれた。


幼稚園のころ


小料理屋を営んでいるママのお迎えを待っているとき


「十朱さんとこのいっちゃん、まだお迎えきてないの?可哀想に」


かわいそう……ってなぁに?


その意味すら分からずただじっとママのお迎えを待っていたあたし。


「あそこはほら、父親がいないでしょ?私生児ってやつ」


ほかの子のママが噂しているのを耳に入れてまたも


しせーじってなに??


と首を傾ける自分。


「十朱さんて水商売でしょ?何かワケありっぽいし、いっちゃんの父親って家庭があったんじゃないの?」


「やだぁ不倫ってこと?でもありえるかもね」


くすくす


悪意を含んだ噂話はこの頃ひとつも意味が理解できなかったけれど



なぜだかすごく嫌な気分になったのは確か。


あたしは近くにあるおもちゃをそのママたちに投げつけてやった。




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