。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。
このドラマにそこまで思い入れがあったわけじゃないし、仕事と割り切ればこうゆう状況になっても致し方ない、と言って諦めるほうが楽。
幸いにも明日は再来月発売予定の雑誌の撮影も入ってるし、巻頭ページを飾れるって言うから。
でも
今もまだ周りのスタッフからちやほやされてご機嫌な笑顔を浮かべているあの女を見ると
正直腸が煮えくり返る。
「お疲れ様です」
ADだろうか、男の声ですっとペットボトルのミネラルウォーターを差し出され
「ありがとう」
苛立っていたのもあった、そいつの顔すら見ずに乱暴にペットボトルを受け取った。
だけど
キュ
長めの…しかも派手な令嬢という設定だったからストーンをたくさんつけてアートを施されている爪が邪魔をしてうまくキャップを開けられない。
「なんなのよ」
苛立ちを隠せずにキャップを開けようとしていると
「せっかくきれいな爪しとるのに、強引にやったらハゲるで。
貸してみ」
聞き覚えのある心地よい関西弁で、キャップを目深にかぶったさっきのADがペットボトルを奪っていく。
この声…
へーーーー…!?
何で!?