。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。
「聞きたいこと、が何なのか分かんないし
あたしはあんたにとって都合の良い女じゃないの。
悪いけど帰って。
今は喋りたくない」
そっけなく言って響輔が立ち去るのをじっと待っていたけど、響輔は小さく吐息を漏らしてあたしの横に腰掛けてきた。
「なによ。利用できるときだけあたしを利用して。
甘い言葉でも囁けばあたしが喋ると思ってるわけ?
生憎だけどそんなに都合の良い女じゃないの、あたしは。
水なんて差し入れしちゃって。あんたはホストか」
あたしは響輔と目を合わせたくなくて、こんなかっこわるい自分を見せたくなくて、ふいと顔を逸らすと立ち上がった。
あたしだって感情はある。
悪魔に…いいえ、殺し屋に魂を売った女でさえ
悲しいこと、辛いことはある。
響輔も無言で立ち上がりあたしのすぐ横に来る。
「別に…甘い言葉言うてあんたから無理やり話引き出すつもりなんてあらへんよ。
そもそも甘い言葉なんて考えて言うタチやないし。戒さんやあるまいし。
機嫌損ねたなら帰るわ。
あんたやってしんどそうやし。
タイミング悪かったみたいやな。ごめん」
パサっ
響輔はキャップを取り外し、腰掛けていたベンチに置く。
ADの通行書も取り外そうとして
なぜだかあたしはその手を止めていた。