。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。
「それで、俺にそのストーカー野郎を片付けてほしい、と言われたわけ」
戒が会話を締めくくり、あたしは頷いた。
「確認しますが、あなたがあの店で働いていたと言う証拠はヤツの手元にないわけですよね」
キョウスケが事務的に聞いて、
新垣 エリナは自信がなさそうに眉を寄せた。
「…そう…だと思います。だけど店には履歴書が残ってるし、勤怠管理も…」
「ああ、履歴書は手に入れた。これは処分しようぜ」
戒はテーブルの端に置かれた灰皿を引き寄せ、その灰皿の上にその履歴書をかざした。
キョウスケが持っていたライターで火をつけると、
メラメラと舐めるような炎があっという間に履歴書を包んだ。
黒く消えていく紙の破片をじっと眺めながら、そこで何か一つ荷が下りた…と言う表情を浮かべて
新垣 エリナは泣きそうに瞳を揺らした。
「勤怠管理の方もどうにかなりそうです。
ただし少しだけ時間をください。なるべく早くしますが、それまでそのコーチを下手に刺激しないように」
キョウスケの言葉に新垣 エリナは涙目になって大きく頷いた。
「あとはヤツが何かを持っていた場合ですが……」
「何らかの写真…音声録音……数えたらキリがないが」
戒は指を折って、小さく吐息をつく。
「そんなあるかないかの証拠を一つずつ潰していくのは無理がある。
潰すなら根元からだ」
あたしが睨むように前を向くと
「「どうやって?」」と戒とキョウスケが同時にあたしを見てくる。
「相手はどうしようもねぇゲス野郎だ。人間のクズだが、カタギだ。
新垣さんがヤクザと関係してるって知れば?」
あたしが目を上げると、
「でも俺らは今正体がバレたらマズいって」と戒が困ったように眉を寄せる。
「誰もおめぇらに脅し掛けろって言ってるわけじゃねぇよ。
まぁお前らだったら効果抜群だし手っ取り早いけどよ。
それは
鴇田にやらせる」