。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。
玄蛇にとってどんな存在―――か…
知りたい。
玄蛇は犯人を知っていると言った。
だったら響輔の手助けになるかもしれない。
玄蛇の敵だろうがあたしには関係ないし。
「ただし、私のジェスチャーの意味が分かったら、ね」
玄蛇はまるで愉しむかのようにうっすら笑ってあたしの髪から手を離す。
「何それ、クイズなの?」
あたしが玄蛇に触れられた部分の髪を撫でると、玄蛇も同じようなジェスチャー。
「ちょっと…ふざけてんの?」
床に手を付いて思わず勢い込むとまたも玄蛇は同じような仕草であたしに顔を近づける。
近づけた距離で、思わずまばたきをすると玄蛇も数秒遅れて瞬き。
これが玄蛇の言うクイズなのだ、と気づくのに数秒掛かった。
あたしと同じ動きをするもの―――
「あんたは影?」
玄蛇は何も答えない。ただ無言であたしの行動を真似る。
違うってこと?
「じゃぁ水面に映った自分」
そう言っても玄蛇は首を縦に振らない。
試しにあたしは軽く右手を挙げてみた。
玄蛇は左手を挙げる。
宙に挙げた手をそっと玄蛇に近づけると玄蛇も同じ動き。
やがてあたしの手のひらは玄蛇の大きな手のひらに重なった。
左右対称に動くもの。自分を写し出し、同じ動きをする。
「分かった……
鏡ね?」