。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。
「ご名答☆」
玄蛇は楽しそうに笑って手を叩く。
「だけどそれだけじゃ何も分からないわ。まさかあんたの分身が居るってこと?」
せっかちに聞くと
「その意味まで教えるとは言ってない。
ただ
近からず遠すぎず、と言うところかな」
「なんなのよ、一方的にクイズ出しておいて、答えを教えないのに正解って」
苛立って立ち上がろうとすると
「黄龍は―――――…」
突然玄蛇が呟いた。床に膝をついて遠くの方を眺める。
「伝説の双龍は元は一体だったと言う。
その体が二つに分かれた、とね。
玄武にも似たような言い伝えがある。
元々亀と蛇は違う生き物だ。だがしかし一体化することで伝説の神獣が生まれた。
元は二つだったものが重なり一つのものを生み出す。
いやそのたとえは不適切だな。
〝私たち”は『二人』で一つ―――――だったんだ…
袂を分かつまでは」
玄蛇は開いた手のひらを見つめ、さっきまでおふざけで笑っていた表情をぬぐい去り冷ややかな目で一点を見据えている。
だけどすぐににこりと微笑むと
「鏡の中に影は存在しない。影は生まれない。
けれど光は反射する。巨大な力がぶつかり互いを壊す存在になる。
もし私が滅びるとしたら、その
光の力だ」
哲学的な言い回しにあたしは白けた目で玄蛇を睨みおろした。
一体何が言いたいんだか。
「〝黄龍”―――龍崎 朔羅が光を味方につけるかどうか……それが今後の行く末に大きく関わってくる」