。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。
―――次の日。
それぞれバイトを終えたあたしたち三人は、鴇田組の事務所の前に来ていた。
鴇田の事務所……実はあたしはじめて来たかも。
鴇田組の会計事務所は都心のビルの一室を借りている状態だ。いかにもおっしゃれ~な外観のビル。
ビルの玄関は海外ドラマに出てきそうな階段とアイアンの手すりがついていてこげ茶の扉がある。
そこから人が頻繁に出入りしているが、そこに出入りする人たちもどこかスタイリッシュな感じがした。
ヤクザなくせしてお洒落なとこ借りてんな。
「よし!いいか!打ち合わせ通りにするんだぞ!」
あたしが二人を眺めると
「お前が一番心配だ」
と戒が不安そうにあたしを見下ろす。
「何ぉう」
と喚いていると、
キョウスケが目を開いて、あたしたちの腕を引き建物の影に隠れる。
「きゅ、急に!ど、どうしたって言うんだよ」
あたしが驚いて目をぱちぱちさせていると、
「しっ!静かにっ」
キョウスケは怯えたように唇に手を当て、外の様子を窺うようにちょっと顔を覗かせる。
あたしも戒も、キョウスケのただ事ではない雰囲気が気になって
ひょっ
ちょっと顔を出して出入り口を覗くと、
カッ
細いピンヒールを鳴らして、
イチ
が出てきた。