。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。
イチは白い細身のパンツに白いワイシャツ。ネイビーと白のボーダーカーデを着ていて、赤いバッグを提げている。
明るいハチミツ色の髪を優雅に揺らして、大きめサングラスを掛けると
こちらを全く気にすることなく姿勢よく颯爽と歩き去っていく。
あたしはその細くてスタイルのいい後ろ姿から目が離せなかった。
いつ見ても、何を着ても
イチは目を惹く美人で、かっこよくてスタイルが良くて。
きっとあたしと並ぶと大人な女と、お子ちゃまだ。
あたしは短いデニムのショーパンの裾をちょっと握った。
これでもちょっと凝ったの選んだつもり。小花柄プリントの裏地が飛び出ていて、ほんの少しビンテージ加工してある。
でも…上はイチと同じ白色だってのに、あたしはパフスリーブのブラウス。裾にフリルがついてるからあたし的には結構好きな部類だけど
でも
ファッション雑誌からそのまま飛び出してきたようなイチと比べると、
てか比べるのも恥ずかしいぐらいだ。
イチがこの事務所から出てきた理由を不思議に思うよりも、ついつい自分との違いに思わず落ち込んでいると、
「あの女……俺の行く先々に現れやがって」
キョウスケは忌々しそうにギリギリ壁に爪を立てている。
キョウスケ…怖ぇえよ。
「でも……何で鴇田の事務所から出てきたんだ?」
「さぁなぁ。てか今はイチのことよりも先にタイガを片付けちまおう」
戒はさほど気にした様子もなく、歩き出した。
「ほら、お前も行くぞ」
イチの登場のせいで少しだけ引き腰になっているのか、キョウスケはまだ壁に隠れている状態。
そんなキョウスケを引っ張って、あたしたちは鴇田の事務所を訪れた。