。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。



鴇田の事務所はビルの二階にあった。


海外風の可愛い外観とは違って、中は意外にも近代的。白やグレーなんかの色を基調とした


これまたきれいな造りのビルだった。


エレベーターを降りると目の前の“鴇田会計事務所”と言うプレートが入った扉があった。


窓はなく、中の様子がまったく見えない。


ごくり、と喉を鳴らしてノックして中に入ると受付のようなカウンターが広がっていた。


カウンターの向こう側にパソコンデスクやラックなんかがたくさん並んでいて、スーツを着た男たちがパソコンに向かっている。


これまたドラマに出てきそうなきれいでオシャレなオフィスだ。


「いらっしゃいませ。お約束ですか?」


デスクの群の中から一人……すらりとスタイルの良い体型を仕立ての良い黒のスーツで包んだ男がゆっくりと歩いてきた。


明らかに高校生(一部大学生)に見える男女の一群にも、丁寧な対応。


てか、ここ本当に鴇田のオフィスだよな。


中で働いてるの…みんなヤクザなんか?


「大狼さんいらっしゃいますか?」


キョウスケが前に出て男に言うと




「ああ!!タイガの兄貴がこないだ誘拐してきたジャニーズ!」




とキョウスケを指差し目を開く。


間違いない、タイガの舎弟だな。


「タイガの兄貴に何か用か?


は!まさか訴えにきたって言うんじゃねんだろうな、こらぁ゛!」


ついでに…爽やかに見えて間違いなくヤクザだ。


「誰が訴えに来たってんだよ!訴えられればとっくにそうしてんよ」


売り言葉に買い言葉。


気の短い江戸っ子なあたしは


バンっ!思わずカウンターを叩いた。


「さ、朔羅っ」


戒が焦ってあたしの肩を引き寄せるも、あたしはその手を乱暴に払った。


「随分威勢の良い嬢ちゃんだなぁ。ここがどこだか分かってんのか!」


そう言われて




「てやんでぃ!!知ってて来たに決まってるだるぉう!!」


あたしが男のネクタイを掴んで睨み挙げると、男は少し怯んだように目を開いた。



「おいっ!鴇田を出しなっ!!



おめぇじゃ話にならねぇ!



あいつに龍崎組のお嬢が来たって伝えな!」




あたしの言葉に男は開いていた目をぱちぱち…






「へ……龍崎組の………





お嬢!!!!!?」






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