。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。
あの日あの夜は
冷たい雨が夜中から降り出した。
俺はその日、朔羅が響輔の告白を断るつもりだったのを知っていたから起きていて、こいつの帰りを待っていた。
だから覚えている。
俺は自室で眠ったフリをしていたが―――
明かりを消した部屋の中で、打ち付ける雨の音だけがやけにはっきりと聞こえた。
どちらかが……いやどちらとも、あの雨のように―――いや、それ以上に冷たく冷え切った気持ちを抱えるとなるかと思うと
いたたまれなかったのだ。
結局、響輔はその晩雨に濡れて、夜中に帰宅して
朔羅は決着をつけるために辛い返事をした。
俺はそのことには触れず…てか今掘り返しても響輔が傷つくだけだ。
何でもないフリして敢えて事務的に説明をした。
「次の日お前は風邪で寝込んでたわけだけど、
その日タイガが龍崎組へ現れた。
タイミングが良すぎる」
俺の言葉に頷きながら響輔が腕を組む。