。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅳ・*・。。*・。






一番近くに―――





鴇田があたしにとって一番近い存在だとは思わないし、そうあってほしくない。


でも


どんなに否定しようとあたしたちは血の繋がった親子なのだ。


「鴇田の……父のところにも話を?」


刑事に聞くと


「もちろん。まっさきに龍崎 琢磨と鴇田 翔の裏を取りましたよ。


二人とも鉄壁のアリバイがありましたのでご安心を。


遺体はコカインを摂取していたようだが、こちらの件も二人ともクリアだ。


検査もしましたが摂取している様子もないし、売買に関わってると言う事柄は今のところ出ていない」


「そう…」


小さく頷いてきゅっとテディを握り締めると


「失礼。ケータイを見せていただいてもよろしいですか?」


と、前触れもなく突然手が伸びてきた。


さっきまで穏やかだった表情は欠片もなく、またもあの切れ長の眼の中で黒い光が渦巻く。





スマホの着信履歴は―――


まだ消していない。








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